■ 天邪鬼:「未知なる道へ」第六話

※ 第六話:完結編【運命】です。。
第一章「見つけたぞ魔王」/ 第二章「天魔覆滅」/ 第三章「魔族来襲」/ 第四章「激戦:セディ爺の最後」/ 完結章

第六話:(完結編)「運命」

※ 待ち受ける「運命」とは、、、、天邪鬼達はいかに、、、、、

<序章>

背に山を従え、前に河を拝み、周りには豊かな野が広がり、
「静かな街」は、奥にある里である。
士気の街よりは小さいものの、この静かな街には学校もあり、
遠く士気の街より通ってくる若者達も数多くいた。

又、「大きな街」に続く街道筋に位置し、旅人も数多く立ち寄る街でもあった。
それゆえ、街は小さいものの賑やかな街であり、大きな宿も数軒あり旅人の途切れる事はなかった。

それゆえ、この街で誰も魔王サー達を怪しむ者は居なかった。
魔王サー達も必要以上の「人狩り」を控えていたし、
完全復活するまでは、人間社会に溶け込み、人間の習慣を真似てもいた。
「人狩り」も街の住人は避け、旅人だけを獲物としていた。

しかし、暗がり渓谷と違い獲物となる人間は、周り中にいる。獲物に不自由する事はなかった。
旅人を朝と夕二回、街外れで待ち伏せする事など容易いことであった。
餌食にした後は、僕が跡形もなく処理しその痕跡をなくしていた。

魔王サーは人間を獲物とすることで、確実に完全復活の過程を進んで行った。
体はより頑強に逞しくなり、見た目はより青年らしく美しくなり、、、
イァに貰った腕も、ほぼ己の腕と同じ位に同化し違和感も無くなって来ていた。

その頃、ユウエン爺さんの家に身を寄せた 天邪鬼達は、、、、、、、

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第六話:第一章「見つけたぞ。魔王。」

天邪鬼達が、ユウエン爺の家に身を寄せて九日程たった夕刻である。
その日、「静かな街」へ買い物に行った若者が帰ってこなかった。

「静かな街」は、数日前に守護隊一組が探索に行き「異常なし」との判断をしていた。
それゆえ、その若者は買い物に一人で行ったのであった。

そして、その若者が帰って来ないと、捜索の準備をしている時、、、、
九日ほど前に、「ふもとの村」の外れに住む一人暮らしの若者も、
静かな街へ野菜を売りに行ったまま、自宅へ帰っていないと情報が入ってきた。

九日ほど前と言えば、天邪鬼達がユウエン爺さんの家に身を寄せた日ではないか、、、

セディ爺が喋った。
「シマッタ、、、、魔王の仕業じゃ。間違いない。」

天邪鬼も喋った。
「今、捜索隊を出すと、魔王が本格的に動き出すぞ。」
「街の中で、本格的に動かれると犠牲が大きくなるぞ。」
「今日、犠牲になった若者がふもとの村の人間とは、まだ気づいていない筈だ。」
「守護隊は、手分けして他の街へ連絡に走れ。」
「残りの守護隊は、静かな街の外側を包囲して旅人を街へ入らすな。」
「街へは、俺が入る。」

ジュオが、割って入った。
「おっと、、、足手まといと言われても、俺はついて行くぜ。」
「天邪鬼。お前が木の上から落ちて来てから、ずーと一緒だった仲だ。」
「お前が命を掛ける時は、俺も命を掛ける時だ。」

ユウエン爺が喋った。
「守護隊の指揮は、セディ先生がして下され。」
「ワシも息子と共に、お供いたします。」

セディ爺さんが、立ち上がった。
「よし、皆。準備に入るぞ。」
そして数時間後、

昔のセディ爺さんの弟子達も、連絡を受け続々とユウエン爺の家に集まってきた。
セディ爺さんの弟子達15名。
ユウエン爺の息子「コク」を中心とした守護隊も全員揃った。
守護隊は、ここ数日間セディ爺さんよりパチンカーの特訓を受けていた。
守護隊23名。
それに、セディ爺さんとフゥォンを加えて40名。

これに、士気の街を中心にした応援部隊に現地集合の要請を出した。
応援部隊の数、約40名。

包囲隊は、総勢約80名となった。
この人数で、静かな街を明日包囲する。

この九日間に、守護隊の若者がセディ爺さんの家から
セディ爺さんが保管していた、全ての武具をユウエン爺の家に持ち帰っていた。

セディ爺さんはパチンカー用の「銀と竜鱗の玉」を一日に二〜三個づつ作っていた。
もちろんパチンカーも新しく作ったものを含めて、合計7機に増やしていた。

セディ爺さんは聖鎧を、ジュオに与えた。
「ジュオがこの鎧を着ければ、魔者のスクリュウドライブ位なら持ちこたえられるであろう。」

パチンカーは、一機をジュオに。残り六機を守護隊に振り分けた。
魔者に効果の有る、ブラウンジャノーも守護隊の投石の上手い若者に与えた。

天邪鬼は、雄紐をジュオに与えた。「雄紐は、相手の力を弱める力も秘めている。」
聖鎧と併用すれば、魔者のスクリュードライブのような魔術にも効果がある筈だ。

天邪鬼とジュオは身支度を整えると、その上に旅行者を装った上着を羽織った。
明朝街に入り、数日前に守護隊の若者が繋ぎを付けた家を尋ねる事にした。

街に入って、魔王達の居場所を調べ、
街の人達を一人でも多く街の外へ避難させた後、魔王サーとの決戦に臨む。

包囲隊の第一陣18名は、既に静かな街に出発した。
第一陣に遅れる事二時間、
重装備の第二陣も、静かな街へ向けて出発した。
天邪鬼達も同じく出発した。

翌日
朝早く、天邪鬼達と包囲隊は静かな街に通じる街道の入り口に辿り着いた。

包囲隊を入り口側(西側)と出口側(東側)の二班編成にした。
包囲隊は、セディ爺を中心に第一班、ユウエン爺と息子コクを中心にした第二班に分かれた。
第二班は街道の出口側へ陣を張るため再び出発した。街を迂回して行く為、到着には二時間位掛かるだろう。

第一班は、街の入り口ぎりぎりまで接近し、
街の一番端の家に状況を話し、その家を接収した。
家人達は、ユウエン爺の家に避難するように出発させた。

暫くして、天邪鬼とジュオが旅人を装って街へ入っていった。
天邪鬼とジュオが出発する前、フゥォンが「魔王の似顔絵」を描いてくれた。
良く描けている。
そこには、「美青年」が描かれていた。
街へ入ると、守護隊の連絡場所になっていた街の世話役の家を訪ねた。

世話役の家は、直ぐに見つける事が出来た。
以前に守護隊のメンバーから聞いていたのか? 天邪鬼を見るなり、家の奥へ引き入れた。

天邪鬼達は
直ぐに、フゥォンの描いてくれた「魔王の似顔絵」を見せた。
が、、、、、、、
世話役の男は、見覚えがないと言う。

と、、、言う事は。。。。。
「魔王達は、昼間、街の中に出ていないという事だ。」
「朝方もしくは夕刻の人通りが少なくなって、街外れで旅人を獲物にしているに違いない。」

世話役の男が、
「でも、この似顔絵があれば直ぐに探せるさ。」
「この街には、旅館は全部で六軒有るだけだし、」
「2〜3時間有れば、どこへ泊まっているか分かるさ。」
「それよりも、住人をどうやって安全に避難さすかだな。」

天邪鬼が、答えた。
「いや、俺の検討が当たっていれば、住人は逃がさなくて良い。」
「下手に昼間から住人が街の外へ退避して行けば、魔王に気づかれる。」
「夕刻、魔王達が街の外れに出た時、包囲隊によって街を封鎖する方が良いと思う。」
「応援部隊も、後暫くすれば到着するはずだ。」
「もし、魔王達が西側へ出れば、包囲隊が封鎖した後、東側へ避難させる。」
「東側へ出れば、西側へ退避させる。」

世話役の男が、
「よし、分かった。」
「俺は、仲間に此処へ来るように連絡し、その足で旅館を当たってくる。」
「あっっと、俺の名はシャン。仲間の名は、サム。」
「サムが来たら、連絡係に使ってくれ。」
「じゃ、俺は出かけるぜ。」
「家は、好きに使ってくれ。」
そぉ言い残すと、街に出て行った。

シャンが出て行って、暫くすると気の良さそうな青年が2人やって来た。
そして、一人が「俺はサム。こいつは弟のジャン。」
「シャンから、詳しい事は家に居る天邪鬼さんに聞けと言われ、急いできたぜ。」
「遠慮なしに、何でも言ってくれ。」

サム兄弟は天邪鬼達から今までの経緯を聞くと、
サムが、「分かった。街外れに待機している包囲隊には、俺が連絡をつける。」
「ジャンは、ここに居て天邪鬼さん達の世話をしろ。」
そぉ言って、サムも街へ出て行った。

二時間程して、シャンとサムが相次いで帰ってきた。

シャンが、興奮を抑えながら話し出した。
「魔王は、この街の中央にある二番目に大きな宿に九日ほど前から泊まっている。」
「奴等は、<俺たちは薬屋で故郷から新しい薬が届くまで滞在するつもりだ。>と話をしている。」

「あっと、心配入らないぜ。」
「宿の主人には、奴等はおたずね者と言ってある。魔王の事は伏せてある。」
「そして、堅く口止めしておいたから他に洩れるような事は無いぜ。」

サムも状況を喋り出した。
「西側、東側ともに包囲隊が民家に陣を取った。」
「応援部隊も到着して合流した。」
「それと、」
「静かな街の警護隊も、魔王達に悟られない様に準備に入った。」
「魔王が街の外へ出たら、住人の避難誘導は警護隊がする手筈を整えている。」

天邪鬼は、2人の話を聞き終わると、
少し考え込んだ。

そして、
「万一だが、魔王との戦いになった時、魔王を助けようとほかの魔者共が押し寄せて来る事もある。」
「その時は、ジュオ。。。」そぉ言うなり、黙りこんだ。

暫くして、天邪鬼がジュオに話かけた。
「ジュオ。足の具合はどうだ???」
「無理はするなよ。」
ジョオが、返事の代わりに廻し蹴りを天邪鬼に入れた。

ジュオも天邪鬼に話しかけた。
「俺の脚をへし折ったイゥの野郎を倒すまでは、死ぬ訳にはいかんわ。」

天邪鬼から、笑みがこぼれた。

窓から街の様子を見ると、何事も無いように人々が行き来している。
しかし、街へ入ってくる旅人は居ない。旅発ちの人だけだ。
午後になり、小雨が降りだした。
運命の時は、刻々と迫っていた。果たして、、、、、


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第六話第二章「天魔覆滅」

夕刻になり、雨は激しさを増して本降りとなった。
そして、その日は魔王達は宿から出てこなかった。
雨の中を外出すると目立つ為避けたのであろう。
深夜になり雨は上がり、少し風が出てきた。
魔王の居る宿は街の警護隊の者が、寝ずの見張りをしていた。

天邪鬼とジュオは、街のどちら側へ魔王達が出てくるか予測をたてた。
「魔王達が朝出てくるなら、街道の出口側(東側)の可能性が高い。」
そぉ考えて、包囲隊の第二班が陣を張っている民家(東側)へ移動していた。

もぉ直ぐ夜が明けようという、その時。。
魔王の居る宿を見張っている隊員から、
「魔王達が宿を出て東側へ向かったと連絡が入った。」
東側の街道出口を見張っている包囲隊の隊員からも連絡が入った。
「魔王達が、街の出口を通過した。」
「天邪鬼さん。直ぐ来てくれ。」

仮眠していた天邪鬼とジュオが飛び起きた。
天邪鬼がシャンとサム兄弟に
「街の西側にいる包囲隊の第一班にこの事を伝えてくれ。」
「それと街の警護隊に、速やかに静かに住民を西側へ避難させるように伝えてくれ。」
そぉ言い終わると、
天邪鬼とジュオはまだ暗がりの残る朝靄のなかを街の出口へと歩き出した。

陣を張っていた民家から、数分ほど歩いて街の出口に着いた。
天邪鬼を見つけて、見張りの隊員達が物影から出てきた。
そして、
「魔王は、街から1km程行った地蔵小屋に入りました。」
「ここから見えるあの小屋が、地蔵小屋です。」
「たぶん、あそこで街を出る旅人を物色するんでしょう。」

天邪鬼が、答えた。
「よし。」
「お前達は陣に帰って、ユウエン爺とコク達に街を封鎖しろと伝えてくれ。」
「作戦行動開始だ。」
「天魔覆滅」

天邪鬼がジュオに話しかけた。
「街の住人の避難が終わったら、仕掛けるぜ。」
ジュオが無言でうなずいた。
2人とも同じ事考えていた。
「元の世界に戻るには、魔王を倒さねばならない。」
「倒さなければ、それは自分達の死を意味する。」
「一命を掛けて、魔王を倒す。」

街の出口から、「遠めがね」を使って地蔵小屋を見張っていると、
セディ爺達が率いる包囲隊第一班も、街の出口に集結した。
フゥオンが、状況を天邪鬼に報告した。
「住民の避難は順調よ。後一時間もすれば完了するわ。」
「大きな混乱も起きていないわ。

天邪鬼が、セディ爺に喋った。
「万が一、魔王との決戦の時、ほかの魔者や僕達が押し寄せてくるかもしれん。」
「魔王達が、ほかの者達を応援に呼ぶ事も十分考えられる。」
「そうなれば、総力戦になるぞ。」

セディ爺も同じ事を考えていた。
「そうじゃ。魔者達とて必死になって来るじゃろう。」
「じゃが、手強い魔者や僕は、既に数が減っておろう。」
「魔王。サーを倒しさえすれば、何とかなる。」

「天邪鬼よ。お前次第じゃ。」
「ワシの命、お前に預けたぞ。」

そして、セディ爺が包囲隊の皆の者に声を掛けた。
「皆。よく聞いてくれ。」
「魔王達に悟られるので、大きな声では喋れんので、よく聞いてくれ。」
「魔王。サーを倒さねば、我々人間は全て餌にされてしまうぞ。」
「100年の眠りから覚めた化け物を、永遠の眠りにつかせるのじゃ。」

さらに、セディ爺が続けた。
「魔王を倒せるのは、天邪鬼しかおらん。」
「ほかの魔者達は、恐れるには及ばん。」
「ワシが、与えた武器を使えばお前達にでも倒せる。恐れるで無いぞ。」
「もし、ほかの魔者達が魔王の応援に駆けつけてきたら、我々で戦うのじゃ。」
「天邪鬼の邪魔をさせてはならんぞ。」

そろそろ、住民達の避難が終わろうとする頃。。空は明るく晴れ上がった。
普通なら、そろそろ早出の旅人が街の宿を発つ時刻だ。

天邪鬼が、再び口を開いた。
「フゥオンよ。住民の避難と包囲隊、警護隊の準備を確認してくれ。」
フゥオンがうなづいた。
「後暫く待って、確認するから。」
そぅ言って、街へ入って行った。

天邪鬼とジュオは、旅人を装った上着を羽織った。
もぉ、何時でも行ける。

天邪鬼が、最後にジュオに聞いた。
「足は、大丈夫か。」
ジュオが、答えた。
「平気さ。」

フゥオンが戻ってきた。
「準備は整ったわ。私達の事は、心配しないで。」
「魔王を倒して。」そぅ言って、うつむいた。

天邪鬼は、フゥオンの目に涙が光っているのを見た。
しかし、天邪鬼は、何も言わなかった。

「ジュオ行くぞ。」
「セディ爺さん。頼むぞ。」
そぅ言って、街の出口から外へ歩き出した。

「朝の早立ち客が街を出て行く。」そんな風な装いで、地蔵小屋に近づいて行った。

その頃、地蔵小屋では、
魔王:サーが、何かしら街の様子が違うのに気を使い始めていた。
魔王が、イァに喋った。
「街の様子がおかしい、静か過ぎる。」
「雨上がりのせいばかりではない。」
「この街も、長く居過ぎたかも知れんな。」

その時、僕が喋った。
「イァ様、獲物が近づいて参ります。」

イァが小屋から外を見た。
そこには、天邪鬼とジュオが旅人の格好で地蔵小屋に近づいて来るのが見えた。

イァが、魔王に告げた。
「サー陛下。獲物です。」

魔王が、立ち上がった。
「違うぞ。その旅人は、奴だ。天邪鬼だ。」
「小ざかしい奴め、今日は息の根、止めてやるわ。」
「この街、全て灰にしてくれよう。」
「イァよ。イゥ達に合図を送れ。」

魔王の命令を受けて、イァと僕は小屋の裏側へ直ぐに出た。
小屋を出るなり、
イァは、大きく深呼吸の後、天空に向かって、
「稲妻」を打ち上げた。
片腕となっていても、魔王の一の家来である。その魔術には抜きん出たものがある。

天空の色が変わり、

「ビシィ、ビシィ、バッバッバッババババァーン、」

空が割けるな音を立てながら、
山向こうの闇の森辺りへ落ちて行った。

闇の森には、魔王の命令を受け
イァの弟「魔者イゥ」がアジトを築き、魔族達を終結させていた。

イァは、その森へ、稲妻打ち込んだのである。
その稲妻は、魔王の命令の合図なのだ。
命令の合図が下れば、イゥが魔族達を引き連れて魔王の元へ終結して来るのだ。

稲妻の光が上がると同時に、
天邪鬼は、身構えた。
「ジュオ。気づかれたぞ、来るぞ。」
天邪鬼が叫ぶと同時に、ジュオは地蔵小屋に向かってジャンプした。
偶然、僕も小屋の裏手から天邪鬼に向かってジャンプしたところだった。

ちょうど、空中でジュオと僕が交差する形になった。
ジュオが、空中で僕に廻し蹴りを浴びせた。
僕の首の骨が折れた。

その時である。
地蔵小屋の中から、天邪鬼に向かって巨大なエネルギーの固まりが向かってきた。
魔王のスターハンマードである。
天邪鬼にまともにぶっかって行った。
だが、天邪鬼が受け止めた。
2〜3m、ズッズッッと下がっただけである。

地蔵小屋は、土台を残して跡形も無くなった。
中に、以前よりも更に若くなった美青年が微笑みながら立っている。
魔王サーである。
「ほほぉ。以前よりは、力をつけた様だな。天邪鬼。」
「いたぶり甲斐が有りそうだな。ハハハ。」

小屋の裏手では、イァとジュオが向き合った。

街の出口を見ると、包囲隊が街を封鎖した。
そしてその中の精鋭隊が、シド爺に貰った武具で武装し、
間もなく来るであろう魔族に備え布陣を作った。
セディ爺とその弟子達も、老骨に鞭打って前面に出た。

セディ爺が、大声で皆の者に声を掛けた。
「魔王との戦いは、天邪鬼に任せておけ。」
「ワシ等では、歯が立たん。傍に行けば足手まといじゃ。」
「天邪鬼の援護は、ジュオに任せておけ。」

「よいか。」
「100年前にも、魔族の襲来が有った。その時は、お前達の祖父たちが命がけで戦った。」
「今度は、お前達が命がけで戦う番じゃ。」
「奴等は、空から来るぞ。」
「弓、パチンカーで狙え。」
「落ち着いて、引き付けてから撃て。」
「地上での戦いは、突け、突いて、突きまくれ。」
「切ろうとするな、交わされるぞ。」
「サラマンダーの火の玉も、恐れるで無いぞ。」
「盾で防げ。」
「建物に火が廻ったら、警護隊は消火に当たれ。」
「勝利を信じるのじゃ、良いな。。」

天邪鬼が、サーに答えた。
「無くなった右腕も、復活させたようだな。」
「だが、今度は首を貰うぞ。」

サーが笑った。
「ハハハ、代を甘く見るな。もぉ波紋は通じぬわ。」
サーは、笑いながら衝撃弾の波状攻撃を仕掛けてきた。
「天邪鬼よ、これが受けれるか。」

その衝撃弾は不気味な水色のスクリューのように回転しながら、
等間隔をおいて、連続的にサーの手元から繰り出されてくる。

天邪鬼は、その衝撃弾に衝撃波をぶっけて行った。
魔王と天邪鬼との中間あたりで、それはぶつかり合い激しい金属音を発していた。
だが、そのぶつかり合いの位置が少しづつだか、天邪鬼の方に移動していた。

小屋の裏手では、
イァがジュオに魔者の得意なスクリュードライブの魔法技の攻撃を掛けていた。
イァは、ジュオの弱点を知っているのである。

しかし、
ジュオが、大の苦手の魔法技をしのいでいる。
ユウエン爺の家で、セディ爺に防御だけの法術の特訓も受けていた。
それに、聖鎧も着けて、雌雄の紐を二つとも身に着けている。
セディ爺に、一番初歩的な「バリアスクリーン」を授けて貰っていた。

イァのスクリュードライブは、並みではなかった。
スクリュードライブを受ける度に、4〜5mは吹き飛ばされていた。
何発食らったか、分からないほどスクリュードライブを受けたが、
ダメージは、受けていなかった。

イァに、一瞬隙が出来た。
ジュオが、見逃すはずは無かった。
パチンカーで、イァを撃った。一瞬の早業だ。
イァは交わしたが、パチンカーは左腕を掠めて行った。

ジュオが、続けざまに魔王サーにもパチンカーを放った。
ビッシという音を聞いたような感覚がジュオに伝わってきた。
「パチンカーがサーに当たった。」
しかし、サーに何の変化も見られなかった。
だか、一瞬サーがジュオを睨んだ。

サーがジュオを睨んだ一瞬だけ、サーの衝撃弾の力が弱まった。
再び、天邪鬼の衝撃波とぶつかり合う位置が、中央へ戻った。

ジュオが、星の剣を抜いた。
「イァ。覚悟。」
ジュオが、イァに向かって行った。その時だ、
魔王サーの衝撃弾がジュオに当たった。
ジュオは14〜15mも吹き飛ばされた。

ジュオが、動かなくなった。

ジュオは死んだのか。
いや、死んではいない。
サーの衝撃弾がジュオに当たる一瞬前に、
天邪鬼が衝撃波をサーの衝撃弾に当てて、力を弱めていた。

其の為、天邪鬼に隙が出来た。
サーの次の衝撃弾をまともに受けた。
後ろへひっくり返った。

サーが笑った。
「2人とも、お休みかい。」
笑いながら、空中から蹴りを入れてきた。
天邪鬼は、サーの蹴りを緑の棒で払い退けた。

イァも、空中から地面に横たわるジュオに蹴りを入れてきた。
ジュオは、蹴りが入る瞬間反転しそれを交わした。
そして、イァの方に向き直ると、ニィと笑った。
ジュオの手にパチンカーが握られていた。
右手を離した。
「ビューッ」
交せる距離ではなかった。イァの胸に5cmほどの穴が空いた。
イァが、叫んだ。
「サー陛下。。」

イァが、ゆっくりと地面に倒れていった。
空が暗くなって来た。
イァが、最後に叫んだ。「イゥよ。待っていたぞ。」
イァは絶命した。

空が暗くなった。
朝方だというのに、コウモリの大群だ。
それと、サラマンダー、ワイバーンも姿を現した。
背には、魔者や僕を乗せている。
屈強の竜に乗った、魔者イゥが率いる「魔族の集団」が魔王の援護に来たのだ。


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第六話第三章「魔族来襲」

闇の森から、魔族の集団が来襲した。

セディ爺が皆に大声を上げた。
「良いか。サラマンダーは火の玉攻撃を仕掛けてくるぞ。」
「まず一番に、サラマンダーを狙え。」
「引き付けてから撃たないと、当たらないぞ。」
「火の玉を恐れなくてもよい。一瞬の間火に包まれるだけだ。」
「盾で、直接体に当たらないように防げ。」
「服は、水を浴びておけば心配ない。」
「恐れるで無いぞ。」
「ワシが、合図するまでは撃つな。」
「合図したら、パチンカーと弓の者は一斉にサラマンダーを狙え。」
「サラマンダーを倒したら、次は、ワイバーンだ。」
「あせるで無いぞ。」

セディ爺が声高に指示を出した。
街を守る包囲隊、警護隊もサラマンダーの攻撃に備えた。
パチンカーと弓の迎撃班は、特別に用意した大型の盾に身を隠した。

来た。
コウモリの大群だ。
「パタパタパタパタ」空から地上目がけて一斉に降りてきた。
顔を目がけて、噛み付きに来るのである。

だか、コウモリは、あくまでも「囮」だ。
こいつに、気取られてはまずい。
セディ爺は、ありったけの大声を張り上げた。
「こいつ等に、気を取られるな。噛まれても死ぬ事は無い。」
「狙うは、サラマンダーだ。」

今度は、コウモリの大群の後ろからサラマンダーが五匹現れた。
五匹とも背には僕を乗せている。
パチンカーは計7機、一つはジュオが持っているから6機。
魔者に有効な弓は計4機、合計10機の迎撃体勢を取った。

サラマンダーの一匹が近づいてきた。
セディ爺が又、叫んだ。
「こいつは、やり過ごせ。次の四匹を狙え。」
「火の玉が降ってくるぞ。備えろ。。。」

「バリバリバリバッバッバッッ」と空気を破る轟音とともに、

サラマンダーの「ファイヤーボール」が落ちてきた。

街の出口の10m程前方に落ちた。
「バッッッッアァァ」と火の手が上がった。地面が黒く焦げた。

その間にも、コウモリが容赦なく顔にぶっかって来る。
次のサラマンダーが来た。今度は低空から四匹が一緒に群れで向かってくる。

セディ爺が、大盾から外へ出た。
「来い。雑魚が。」
「皆、恐れるで無いぞ、引き付けてから撃て。」
「まだだ。」
サラマンダーがシド爺を見つけた。低空でセディ爺に向かって来る。
「まだ、まだ。撃つで無いぞ。」

サラマンダーが、セディ爺に狙いを付けた。
口を開いた。

「撃て。。。。」
セディ爺の号令が轟いた。
「ビッッユー、ビッユー、ビビュー、ピュ、ピュピュ、ビッュー」
二箇所の大盾の中から、パチンカーと弓が撃ち上がった。
この時の為に、選ばれた腕力と視力の良い若者の引く「パチンカー」と「弓」は、
人間の尊厳を掛けて、放たれた。

同時に、ファイヤーボールが四発シド爺に向かってきた。
セディ爺は、後方へ飛び退いたが、足を引っ掛けて転倒した。
しかも、ファイヤーボールは四発である。
一発は、飛び退いて転倒した真上に落ちてきた。
一瞬、黒い影が二つシド爺にぶっかって行った。
その上に、ファイヤーボールが炸裂した。
近くでも、残りのファイヤーボールが炸裂した。

「バッッッッアァァ」、「ドッドッドドド」凄まじい音が響いた。

一瞬火の渦に包まれた、
焦げ臭い臭いが立ち込めて、火の渦が静まった。
火の渦が舞った位置に人影がうずくまっている。

セディ爺の若い頃の武道塾の弟子が2人、セディ爺をかばって覆いかぶさったのだ。

セディ爺が、叫び声を上げた。
「トウ。。」「ドン。。」
「しっかりせい。」「しっかりせい。」、、、、、「この阿呆どもが、、、」泣き声に変わった。
2人は、「先生。。。」と言いながら息絶えた。

ユウエン爺の息子コクがセディ爺を大盾に連れ戻した。

だが、サラマンダーは四匹ともパチンカーの餌食となった。
「キュウゥゥゥゥー」と、泣き声を上げながら街の中央部の道へ激突した。

サラマンダーの背に乗っていた僕も、地面に叩きつけられた。
その僕達を包囲隊の、武闘班の連中が取り囲んだ。
コクが駆けつけた。
「突け、突け、突け、突いて突いて突きまくれ。」
コクが大声で、指揮を執った。

大盾では、
セディ爺が鬼の形相になった。
「又、来たぞ。」
「残る、サラマンダーを狙え。」
「ワイバーンも来るぞ。」

その頃、魔王の所へ二匹の「屈強の竜」が降り立った。
一匹の方には、「魔者イゥ」が乗っている。
そして、もう一匹が降り立つとその背中から「間者」が6人程降りると、
入れ替わりに「魔王サー」を乗せて空中に再び上がった。

魔王サーがイウに命じた。
「代の事は、心配には及ばん。」
「屈強の竜だけで、十分ぞ。」
「イゥ。お前は、街を破壊しろ。」

「承知しました。陛下。」そぅ答えると、イゥは再び街へ向かって飛び立った。

降り立った「間者」6人が、地面に叩きつけられて動けなくなったジュオに向かっていった。

天邪鬼は、最大のテレパシーをジュオに注ぎ込んだ。
「ジュオ。立ち上がれ。」
「それとも、俺を残して先に死ぬのか。」

ジュオが動いた。
「クッソォォォォォ。」
雄たけびを上げた。
ジュオの闘争心に火がついた。
「こんな所で、死ねるか。。。」
「来い。雑魚が。」

ジュオが、右手に星の剣、左手にショートソードを持ち両手を広げた。
「小次郎流燕返し、武蔵流二点一流、を受けてみろ。」

天邪鬼に屈強の竜に乗った魔王サーが、上空からハンマーブレードを浴びせてきた。
屈強の竜を操り、縦横無尽の攻撃を仕掛けてきた。
天邪鬼はバリヤーを張って防いでいるが、
その強力な破壊力が、徐々に天邪鬼にダメージを与えて来た。

ついに、バリヤーを破られた。
と、同時に衝撃弾が天邪鬼を襲った。
天邪鬼は、又地面に叩きつけられた。

魔王サーが、空中より
「そろそろ、お前もこの竜の餌にしてくれるわ。」
魔王サーの電撃弾が、上空から天邪鬼に放たれた。
まともに、天邪鬼にぶち当たった。

天邪鬼が、地面からバウンドして再び地面に叩きつけられた。
天邪鬼が動かなくなった。

ジュオを取り囲んだ、間者は魔剣を抜いて円を描きながらジュオの廻りを回り始めた。
ジュオは、叫び声を上げた。
「天邪鬼。起きろ。起きろ。起きろ。起きろ。。。」
そぅ言いながら、間者達と同じ方向に回転を始めた。
下から上に切り上げる「円月切り」で間者の輪を崩しに掛かった。
間者も、円月切りを交わした。
しかし、返す二の剣が得意の「燕返し」となった。
間者の首が一つ、宙へ舞った。
同時に、左手のシュートソードがもう一人の首へ突き立った。
隣の間者へは、廻し蹴りが入った。首の骨をヘシ折った。

天邪鬼を目がけて、屈強の竜が巨大な爪を開いて降りてきた。
竜の背には、魔王サーが乗り竜を操って居るのだ。
天邪鬼が動かない。
ジュオの叫び声がこだました。
「起きろ。起きろ。天邪鬼。」

竜が、天邪鬼の背中をその巨大な爪で掴もうとした時、
天邪鬼が、ゆっくりと反転した。
竜の爪を払いのけた。
竜は再び浮上した。
天邪鬼が立ち上がった。
「サーよ。好い気になるな。」
天邪鬼が両手を広げた。
「アント族秘奥義。浮遊必殺拳。」
天邪鬼の体が、徐々に空中に浮上していった。
そして、魔王サーに向かって、言い放った。
「驕るな、魔王。貴様は、俺が倒す。」

その頃街では、
屈強の竜に乗った魔者イゥがワイバーンを伴って現れていた。
コウモリの大群は、包囲隊の振るう剣で地面に血の海をこしらえていた。
一匹残ったサラマンダーは、
パチンカーを恐れて、上空からファイヤーボールを放ってきていた。
人にダメージを与えるよりも、街を焼き尽くすつもりだ。

セディ爺が、大盾から出た。
そして、魔者イゥに向かって言った。
「若僧よ。この老いぼれ爺が恐ろしくて地上には降りてこれぬか。」

上空からイゥの笑い声が響いた。
「ハハハ。老いぼれ。。」
「魔族を見くびってくれたものだな。」
「我々は、先鋒隊だ。」
「本隊は、後暫くすればここへ到着するさ。」
「爺達に殺された、魔者頭の弟のサムソン様が大群を率いて間もなく到着される。」
「その時が、お前達の最後と知れ。」
「ハハハ。ハハハ。」

セディ爺も、答えた。
「承知。束になって来るがよかろう。」


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第六話第四章「激戦:セディ爺の最後」

セディ爺が、魔者イゥと言い合っている間も、
一匹生き残ったサラマンダーの火の玉ファイヤーボールの攻撃は続いていた。
更に、まだ群れを成してコウモリが襲ってきていた。
しかし、街を守っている包囲隊、警護隊も負けてはいなかった。

押し寄せるコウモリは、確実に叩き落としていた。
更にコウモリの習性を利用して、竹の長さおを円を描くように廻しその超音波を利用して
コウモリを攪乱させていた。

その頃、魔者頭の弟魔者サムソンの率いる魔族の大群は、静かな街に後一歩の地点まで来ていた。
イゥと同じように、魔獣に乗って魔王の援護に向かって来ていた。
おおよそ20名の僕と同じく20名の間者それに、下級魔者も7名程従えていた。
「兄の仇をとってやる、人間共は餌にしてくれるわ。」
サムソンが号令を掛けながら、一隊を引っ張っていた。

生き残りのサラマンダーが、セデイ爺を目がけて急降下して来た。
「ビュー、ビュー」
パチンカーがサラマンダーを捕らえた。「グッシャ」と言う鈍い音とともにサラマンダーが 砕け散った。

更に、低空飛行して来た、ワイバーンにもパチンカーが炸裂した。
ワイバーンは、街外れの方角へ墜落して行った。

セディ爺が、続けた。
「イゥ。片足では地面には降りて来れんか。ハハハ。」

「何ぃぃ。クソ爺叩き殺してくれる。」そぅ言ってイゥが地上に降りようとした時。
その時である。

サムソンの率いる魔族の本体が姿を現した。
魔者サムソンが声を上げた。
「貴様か。爺、我が兄を殺してくれたのは。」
「八つ裂きにしてくれる。」
更に、イゥに向かって叫んだ。
「お前は、魔王陛下の援護に行け。」
「ココは、俺達で十分だ。」

イゥが答えた。
「俺もこの足と兄者の仇、ジュオを叩き殺して来ます。」
そぅ言い残すと、魔王と天邪鬼の決闘している方向へ消えていった。

セディ爺が、大声で笑った。
「魔族の本体とは、コレだけのものか。」
「総勢約50名。それと魔獣か。」
そして、後方の包囲隊の面々に向かって号令した。
「心して掛かれ、恐れるで無い。」

セディ爺が聖剣を抜いた。

魔族の集団が一斉に街の中に向かって突っ込んできた。
「ビュー、ビュー、ビュー、ビュー」
パチンカーと弓が、二箇所の大盾から発射された。

魔者サムソンが大盾に向かって、スクリュードライブを放った。
一つの大盾が押しつぶされた。

コクが叫んだ。
「これからは俺達、武闘班が相手だ。」
「掛かって来い。」
「皆。ひるむな。」
コクもセディ爺に貰った聖剣を構えた。

先陣を切って突入してきた魔獣数匹、僕の数名はパチンカーの餌食になったが、
大盾の中にいた包囲隊員も数名は、まともにスクリュードライブを浴びて犠牲になった。

静かな街が戦場と化した。

もぅ一方の大盾にも、サムソンがファイヤーボールを投げつけた。
残った大盾が燃えあがった。

サムソンがセディ爺に向かって来た。
セディ爺も向かって行った。

僕と間者、それに魔者が街に入ってきた。
武闘班と言えど、一対一では魔族の奴等には歯が立たない。
連携して、3〜4人で立ち向かわなければ勝ち目が無い。

コクが大声で指揮を執っている。
「突け、突け、切ろうとするな。」

「幾ら剣道の有段者と言えど、複数人に突きだけで攻撃されると勝つ事は難しい。」

「武闘班は、[突き]に人間の尊厳を掛けて戦え。」

そぉ、セディ爺さんから教えてもらっている。

コク達が、下級魔者を取り囲んだ。
「突け、突け、突け、突け」
下級魔者と言えど、一度に3〜4人が突いてくれば交せない。
コクの突きが脇腹に突き刺さった。
「グゥェェェェ」悲鳴を上げた。その隙にほかの隊員の剣も腹に突きたった。

しかし、切ろうとしたグループは、一対四でも僕に剣を交された。
殺傷能力では、僕と言えど人間の数倍はある。
武闘班の隊員の剣ぐらい訳なく交されてしまう。
「クククク、たわいない者よ。」
そぅ言いながら、武闘班の隊員の首をはねていった。

サムソンが、セディ爺にスクリュードライブを放ってきた。
セディ爺は、聖鎧を着ていない。ジュオに与えたのだ。

セディ爺も、法術は使える。
だが、法術は非常な気のエネルギーを使う。セディ爺の年齢では命取りになりかねない。

一発目は、ジャンプしてかわした。
交すと同時に、ブラウンジャノーをソーサムソンに投げつけた。

サムソンはそれを魔剣で払い落とした。
そして、二発のスクリュードライブを武闘班の隊員目がけて放った。
セディ爺が叫んだ。
「逃げろ。」

「ギュルルギュルル。」と音を立てながら、
スクリュードライブが武闘班と魔族の戦っている中心に炸裂した。
「うぁぁぁ。」悲鳴とともに武闘隊員がバタバタと倒れていった。
間者も数名が「グェェルル。」と悲鳴を上げて倒れていった。

武闘班の犠牲の方が大きい。

セディ爺が、サムソンに切り掛かった。
サムソンが魔剣で聖剣を払いのけると同時に、セディ爺の横腹に蹴りを入れてきた。
爺さんも、なんとか横飛びに交した。

「ビューッ」
パチンカーがサムソン目がけて飛んできた。
潰れた大盾の中の隊員が、生きていたのだ。

サムソンは、間一髪交した。
しかし、次の瞬間3発目のスクリュードライブを潰れた大盾目がけて放った。
潰れた大盾が飛び散った。
そして、続けざまに四発目を又、街の中央の武闘班目がけて放った。

仲間もろとも、人間を皆殺しにするつもりだ。
「うぁぁぁ。」悲鳴とともに武闘隊員が又、犠牲になった。

サムソンが再び、ファイヤーボールを街の中央部に放った。
街の中央部が火に包まれた。

フゥォンの叫び声がこだました。
「警護隊員は、消火に当たるのよ。」
「街を、守るのよ。」

警護隊員が消火に当たっている間も、生き残りのコウモリや魔獣が襲い掛かって来る。
フゥォンも負けてはいなかった。
女とはいえ、たった一人で魔道、獣道を旅してきた女性闘士である。
コウモリなどは、体に食いついてきたら握り潰していた。
魔獣も、警護隊員を指揮し獣殺していた。

サムソンが、街の消火作業に当たっている警護隊員に向かって、スクリュードライブを放つた。
五発目のスクリュードライブが警護隊員の群れの中に炸裂した。

「フゥォン。。」セディ爺が大声を上げた。
「サムソン許さんぞ。いい加減にしろ。」
セディ爺が、聖剣を逆手剣に持ち変えた。

サムソンがセディ爺の方へ正対した。
「爺、次は貴様の番だ。」
「兄の仇じゃ。死ね。」
「これが、最高強度のハイスクリュード。受けてみろ。」
次の瞬間、セディ爺にハイスクリュードが近距離から放たれた。

「ドッドッドッドドドドッドッドド。」

激しい音とともにセディ爺に炸裂した。

激しい土煙に包まれた。
一瞬、戦いがストップした。

「爺さん。」「先生。」「セディ爺。」「爺様。」皆の悲鳴が街に響き渡った。
時が止まった様になった。
どの位たっただろうか、土煙が収まってきた。
土煙の中に動かなくなった、セディ爺さんが立っていた。

サムソンがはき捨てるように言った。「爺め、立ち往生したか。」
「立ったまま往生するとは、まるで弁慶の様じゃ。ケケケケ。」

「.....驕るな、サムソン。」
「....ワシは...まだ死んではおらん....お前如きに...倒されて...たまるか。」
「...アント族奥義。....飛遊輝剣裂弾...受けてみよ。」
セディ爺が逆手剣に持っていた聖剣を胸に構えると、剣が光り出した。
青白く眩しく、まるで生命を持った光りの如く輝き始めた。

サムソンが、一瞬ひるんだが再び、スクリュードライブをセディ爺に放つた。
スクリュードライブがセディ爺に向かって行った。
が、、それは二手に分かれてセディ爺に当たらなかった。

まるで、光る剣に引き裂かれた様に、セディ爺を迂回して行った。。。

セディ爺の聖剣から、静かに静かに光がサムソンに向かって行った。
その光は、魔者サムソンを通過した。
サムソンが倒れていった。
悲鳴をあげる事も無く、その余裕もなく死んだ。

フゥオンが駆け寄った。「爺様。」
セディ爺が、しゃがみ込んだ。
「フゥォンよ、無事でよかった。」
「ワシは、もぉ死ぬ。命を使ってしまった。」

「天邪鬼に伝えよ。」
「魔王如きを、恐れるなと。」
「恐れを克服した時、絶対の力を有するとな。」

「.........フゥォンよ。」
「.......短い間ではあったが、お前達との旅....楽しかったぞ。」
「...........それと、ワシの骨は......浮かぶ島の婆さんに.....」
「................」

「...........」セディ爺がフゥォンの腕の中で静かに逝った。

「爺様ぁぁぁ。。。。。。」フゥォンの泣き声が街中に響いた。

フゥォンが泣きながら、、、叫んだ。
「魔族の者よ。何故平和を乱す。」
「平和を乱すものには、天罰が下るわ。」

「遅かったか。」
ジュオが街に戻ってきた。
「うぉぉぉぉぉ。爺さん。。。」
「一足遅かった。ごめんな爺さん。。」
「うぉぉぉぉぉ。」
ジュオの号泣が街に、轟いた。

街の出口付近に居た魔獣が、フゥォンに遅い掛かって来た。
ジュオが横から魔獣の首を廻し蹴りでへし折った。
更に剣で首を刎ねると足で蹴り転がした。

ジュオが怒り狂った。

「爺さん。.....」
「爺さん。。」
大粒の涙をぬぐおうとしなかった。
セディ爺の聖剣を、爺さんの手から取った。
魔族の奴等は、この剣で首を刎ねてやる。
ジュオが修羅になった。


ココ迄で、第六話第四章は終わりです。 完結章(次のページ)にご期待下さい。


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wujingと天邪鬼の正門