■ 続編 「新:天邪鬼」第一話

※ 続編:第一話の始まりです。。
第一章「出港」/ 第二章「謎の四人組み」/ 第三章「天邪鬼登場」/ 第四章「異変」/ 第五章「ジャントリアの謎」
飛ぶ鳥

第一話:「開拓島」

第一話:第一章「出港」

大陸から東北東へ約3000Km程端なれた海上に「開拓島」があった。
この島へは大陸から月に二度、大型の帆船が出ている。
ここへも「平和の盾」の支部が出来ていて、魔族魔獣に対する警戒の任務を受け持っていた。
面積はちょうど九州ほどで、離れてはいるが孤立はしていなかった。

平和の盾の開拓島支部からは定期的に連絡が入り、隊員の一部は大陸から出向し、
二年任期で島へ配属され、隊員間の交流も行われていた。
島は別名「夢の島」とも呼ばれ、平和が保たれていた。

新天地へ
出航

島の特産は絹製品で、原糸及び反物が大量に大陸に入ってきていた。
絹製品が気候的に生産され易く、島の生活は大陸よりも裕福な程であった。
そのため、絹製品で財を築こうと、夢を求めて島へ移住する者も数多くいた。

又、温暖な気候と美しい景観が人気を呼び、大陸の上流階級者の観光先として注目されてもいた。
その事が、月二回の定期航路が出来るきっかけとも成った。
この航路には二隻が就航しており、今日は、定期船ブラウン号が出港する日だ。
(もう一隻は、ナショナル号が就航している。)

船に乗るには、平和の盾などの「街の役所」が発行する無料パスを提示するか、
1000Gでキップを購入するかのどちらかである。
どちらにしても、航海中の食事は個人負担で別となっていた。

お金の有る者はレストランで食事をし(大半の乗船客はそうである)、
お金の無い者は、月使用料100Gを別途払い料理房での自炊となる。

だから貧乏人は、別に食材も持ち込む必要が有り荷物が凄かった。
しかし、一定量を超えると持ち込み荷物の追加料も取られる羽目になる。

船の乗客定員は150名であったが、常に200名程の乗客を運んでいた。
今日も、ほぼ200名ほどの乗客を乗せて大陸の希望港より出港した。

船内部屋に宿泊の場合は、
事前の予約と部屋料金が別途2000G必要となるシステムであった。
ここでも、お金の無い者は大広間での雑魚寝か、ベンチでのゴロ寝を強いられる。
夢の島へ行く為には、貧乏人の最初の苦難が航海中の船内生活であった。

夢を求めて島へ行く者にとっては、乗船した時からその戦いが始まるのである。
船内部屋に宿泊しているような上流階級者の島へ着いてからの、
荷物運び等の仕事を引き受ける者も居れば、
腕の達つのを自慢して、警護の仕事を引き受ける者も居たり、
又、航海中も農業の勉強に励む者も居たりで、様々だ。

しかし、これらの真面目な者達ばかりではなかった。
他人の隙を窺う者や、
他人の夢に懸けた元手の金を騙し取ろう、脅し取ろうとするヤカラもいた。
そんな者達を一緒に乗せて、ブラウン号は出港した。

出港したその夜、

デッキでは船内部屋へ泊まれない客同士が5〜6人づつ群れになり、
島へ着いてからの夢を語り合っていた。
気の合う者同士が知り合いに成ろうと、お互いに必死に語っているのである。

その群れとは少し離れて、4人組みがポーカーをやっている。
この4人は、前からの知り合いのような雰囲気で談笑しながら賭けポーカーをやっている。

そして、日は重ね。。出港して10日程たった夜のこと、、
「なんだ。。イカサマだと、、もぅいっぺん言ってみな。。」
闇のデッキに怒鳴り声が響いた。

ポーカーの4人組みの中の一人が、35〜6歳の田舎風の夫婦に詰め寄っていた。
「ポーカーの仲間に入れてやって、楽しく遊んでやってりゃ、」
「負けたら、イカサマだと。。」
「この落とし前、どぉ付けるんだょぉ。」

田舎風の男の方が、泣き声で、、
「あんたら、グルになって口下手な俺を騙して、」
「ポーカー友達に引き入れて、」
「最初からイカサマで金を巻き上げる気だったんだろう。」

パッシィ。。高い音が響いた。
4人組みの中の一人が、田舎風の男に張り手を浴びせたのだ。
「誰か。助けて、、」
田舎風の男のかみさんだろう。助けを呼んだ。
しかし恐ろしくて、ほとんど声は出ていない。

それに、廻りには誰もいない。
誰も居なくなったから、イカサマ博ちをやったのである。

4人組みが、不敵に言った。
「一人や二人、海に落ちても誰も知っちゃいねぇぜ。」
「おとなしく、20万G出すんだな。」
「足りなきゃ、全財産出すんだな。」
「そぅすりゃ、命までは取らないぜ。」

ドスを効かせて、
「どっちなんだよ。」
そぉ言って、田舎風の男の胸ぐらを掴んだ。。

田舎風の男が、小さく呟いた。。
「助けてェ・・・・」

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第一話:第二章「謎の四人組」

田舎風の男は、ロンと言った。
開拓島へ移住した友からの手紙で、夢を追って自分も移住を決心しこの船に乗ったのであった。
最初は反対していた妻も説き伏せて、田畑を売り払い夢に懸けたのであった。

ロンは、翌日他の乗客の目の前で海に身を投げた。そしてその日の午後、妻も自殺した。
遺書も何もなかった。

この2人の自殺事件が起こってから、4人組みはデッキでのポーカーをしなくなった。

他の乗客も、真相は知らないながら、何処とは無しに4人組を避けるようになった。

航海も残りわずか、あと5日もすれば島に着こうかという昼下がり、
4人組の中の小柄な男が酒に酔って、乗客の女性に絡み出した。
「よぉぅい。。よぉ、ねぇちゃん。。」
「仲良くしようぜ。」
絡まれた女性は、嫌がって逃げようとした。しかし、
男に、手を掴まれてしまった。

「誰か、助けて。。」女性が声をあげた。

近くで見ていた、若い男が声をあげた。
「止めなよ。みっともない。」
「その女の人を、放してあげなよ。」

若い男が、絡まれている女性を助けようと4人組の小柄の男の方に駆け寄ろうとしたその時である、、、
近くで寝たいた4人組内の他の一人が、足を引っ掛けた。

若い男は、そいつが出した足に躓いて、ものの見事に前に倒れた。
足を引っ掛けた男が、ドスの効いた声で呟いた。
「粋がるんじゃねぇ。」
そう言うと、勢いよく跳ね起きて若い男に蹴りを入れた。
「うぅぅ。」
若い男が呻いた。
そして、二発目の蹴りを入れ様とした時、
後ろから、、体格の良い別な男に、頭の髪を掴まれて後ろへ仰向けにぶつけられた。

「大丈夫か??若い人」そうぅ言いながら若い男を助け起こした。
「それと、そこのチビ。何時までお嬢さんの手を握っている気だ。」

小柄な男が、「しゃらくせぇ」
そう言いながら、殴りかかってきた。
しかし、殴り掛かって出したその手を取られてしまい、溝落ちに当身を食らって気絶した。

先ほど、後へぶつけられた男が、起き上がった。
「後ろからとは、卑怯な。」そう言うと、身構えた。
そして、「殺す前に、名前だけでも聞いておこうか。」そぉ言った。

体格の良い、助けに来た男が喋った。「俺は、セディJr。」
そして、こぉ言った。
「俺に、拳を当てる事が出来るか?木偶の棒のおにいさん。。」
「なにぃぃ。」そう言うと、その4人組の男が殴り掛かってきた。

セディJrが、左手を床について身を浮かせる様にして、横水平に蹴りを入れた。
その男の方も、溝落ちに蹴りを食らって気絶した。

この一件が有ってから4人組は、他の乗客とは接しないようになった。

そして、ロン夫婦以外は無事に夢の島「開拓島」の未来港に着いた。
皆、船を降りる支度をしながら、顔は希望に満ちていた。

「オラ、ドケドケ。。」
大声を出しながら、4人組が現れた。「降りるのは、ワシらが先じゃ。」
そぉ言いながら、下船順を待っている列に割り込んできた。

列の中程にいた「セディJr」を見つけると、
「先日は、世話になったな。あの礼は島で、キッチリとさせて貰うぞ。」
「俺達を舐めたら、どういう事になるか。。教えてやるさ。イィヒヒ、、、」
そぉ言いながら、通りすぎた。

「セディJrさん。大丈夫?」
先日のセディJrに助けられた、若い男「シャン」が心配そぉに声を掛けた。
セディJrが、答えた。
「なぁーに平気さ。」
「俺は、この名前に恥じぬように鍛錬して来た。大丈夫さ。」

シャンが、訊ねた。
「一度訊ねようと思っていたけど、、セディって、あの有名なセディ爺の名前でしょう?」
「セディJrさんって、あの爺様の子供、、それとも孫なの??」

セディJrが、答えた。
「俺がガキの頃、俺の住んでいた街へ魔族共が押し寄せてきた。」
「その時、俺はこの眼でセディ爺を見た。」
「凄まじい、爺さんだった。」
「最期の時も見た。聖戦士と言うにふさわしい人だった。」
「だから、その時から、、俺は名を変えた。」

「セディJrに、そして、、ジュオ師匠の門下生になって、名前に恥じぬ修行を重ねた。」
「ジュオ師匠に、師範奥伝も貰った。」
「恐れなど、無い。」

シャンが安心したように、更に訊ねた。
「途中まで、一緒について行っても良いですか。」
「途中、又あいつ等に会っても困るし。」

セディJrが、答えた。
「あぁ。構わないよ。一緒に行こう。」

そんな話をしていると、列が前に進み出した。
ついに、下船が始まった。島へ上陸だ。
希望の第一歩が始まった。始まったかの様に見えるが、、、、、

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第一話:第三章「天邪鬼登場」

開拓島の未来港の西北約300kmの位置へ、この島最大の街「ジャントリア」がある。
未来港から徒歩で約10日程の道のりとなる。

2人は、
そこを目指す事にした。そこに行けば、何かが有る。
仕事も夢も、実る様な気がした。

最初から移住を決めて来ている者には、迎えの人達が来ているが、
セディJrにしてもシャンにしても、武者修行的に夢を追って来た者は、
ここへ着いてから以降は、自分でその道を決めて進まなくては成らない。

セディJrが、シャンに話しかけた。
「ここから次の街までは、歩いて2時間程だから先を急ごう。」
「今夜は、そこへ泊まる事にしようぜ。」

2人は次の街を目指して歩き出した。
未来港を出て直に一軒の宿が有った。
その宿の二階から数人の男達が、2人の行き過ぎるのを見ていた。
2人が通り過ぎると直に、男女のアベックが宿を出てその後を歩き出した。
着かず、離れずの距離を取って歩いてくる。

暫くして、7人の男達が身支度を整えて宿から出てきた。
船に居た4人組も居る。
その連中も、次の街を目指して出発した。
セディJrもシャンも、アベックに後をつけられている事には、未だ気が付いていなかった。

そんな頃、

定期船ブラウン号では、ビッブルームから一人の男が下船しようとしていた。
長身で、体格の良い、紳士だ。
薄い布のロングコートに身を包み、深い帽子をかぶり、眼には色の薄いサングラスを掛けている。
それ故、顔は良く分からないが品格の漂う紳士だ。
その男は航海中、一度も船内部屋のビツプルームから出て来なかった。
食事も部屋で取り、他の乗客と顔を合わせる事は無かった。
船を降りる時も、他の乗客とは別に乗務員が使う階段を降りて来た。
その男が船を降りた事を知る者は、船長と一部の船員だけだった。

その男は、船を降りると迎えに来ていた馬車に乗った。

セディJrとシャンが、あと少しで次の街へ着こうかという時、突然、、、 後ろから、
た・す・け・て〜。」と悲鳴が聞こえた。
2人は振り返ると、声のした方向へ走りながら引き返した。
暫く引き返すと丘の下でアベックが、2人組の男達に襲われている。

2人は、直に丘の下へ駆け下りた。
「何だ貴様らは。。」セディJrが大声を出すと、、、2人組の男達は直に逃げ出した。
セディJrとシャンが、それぞれ倒れている男女を助け起こそうと身を屈めた時だ。
倒れていた男女が、鋭く光る短剣で付いて来た。

シャンは交わす事が出来ず、真ともに腹に突き立てられた。
セディJrは、本能的に身を交したが、左腕をかすめていった。
セディJrが、シャンに声を掛けた。
「シャン大丈夫か?」
幸い、シャンは腹にしていたウェストポーチの上から短剣が突き立った為、致命傷にはなっていない。
しかし、出血がひどい。

セディJrが、怒り狂った。
「何だ。貴様らもグルか。」
そぉ叫んだ時。宿を出てきた7人組が武装して現れた。

「運の良い奴だ。」
「小太刀使いのピンキー姉妹の短剣を交すとはな。。。。」
アベックと見えていたのは、女2人の姉妹だった。

「だが、、俺達の七人剣は交せないぜ。」
「死んでもらうぜ。」
そぉ言うと、セディJrの廻りを取り囲んだ。

セディJrは素早く自分の左腕の止血をすると、身構えながらシャンに声を掛けた。
「シャンよ、その短剣は抜くな。抜くと死ぬぞ。」
「俺が手当てをしてやるまで、我慢してろ。。」

セディJrの話が終わらない内に、7人が剣を抜いた。
正確には、7人の剣と1人の短剣だ。

セディJrが、叫んだ。
「俺一人に大勢か、、、俺がそんなに怖いか。。」
「さぁ。遠慮ナシに掛かって来い。」

男達の中で一番の大男が廻し剣で切り込んで来た。
セディJrは、自分の腰ベルトを素早く抜いた。
そして、剣を避けながら、そのバックルの方をそいつに叩き付けた。
バックルのピンの部分がそいつの右の眼に突き立った。
「グェェェ。」
大男は悲鳴を上げて、地面を転げまわっている。

男達がひるんだ。
セディJrが、その隙をついた。
自分の左腕に傷を負わせた、男のような女に水平蹴りを見舞った。
男のような女は後ろへ吹っ飛んだ。後ろ頭を地面に、強く打ち付けて動かなくなった。

もう一人の女が、捨て身で当たってきた。シャンに短剣を突き立てた女だ。
首の軽動脈へ水平打ちを入れた。血管が切れた様だ、首が青くなり内出血している。
その女は転げ廻りながら死んだ。

「クッソー」
残っていた6人の男達が、同時に掛かってきた。
囲まれていては、不利だ。
セディJrが、走った。
男達が追って来た。先頭になって追ってくる奴の足を、、振り返りざまに払った。
そいつは、ものの見事に後ろへ倒れ込んだ。
セディJrはその隙に、そいつの剣を取ろうとした。

しかし、セディJrにも隙が出来た。
その次に追ってきた男の剣の突きを、左足に貰った。
深い傷では無いが、もぉ走れない。
再び、5人に囲まれた。

しかし、今度は自分も剣を手に入れた。
剣の腕は、ジュオ仕込みの達人である。
5人が、体制を整えるまでの一瞬の隙をついて、円月切りで2人を切り捨てた。

残った3人が、、
「やばいぜ。逃げよう。」
「おい。若いの、、この仇は、俺達のボスが必ず取るからな。」
「それまで、待ってろや。」
そぉ言い残すと逃げていった。

セディJrに剣を取られた男も、気がついて逃げていった。

セディJrが、シャンのところへ戻ってきた。
急いでシャンに手当てを施した。
傷の応急処置の方法はジュオの武闘塾で嫌になるほど勉強した。

しかし、
傷ついたシャンをどうやって、次の街まで運ぶかだ。
自分も、左足にかなり深い傷を負った。
「とにかく、道まで登らなくては、、」
「道まで上がれば、誰かが通りかかるだろう。」
そぉ独り言を言いながら、
シャンをやっとの事で起こしあげた。
動かす度に、シャンが呻き声を上げる。
「早く、きちっとした手当てをしてやらねば、、」

直上の道まで、シャンを抱えあげるのに半時間も掛かってしまった。
「シャンを早く手当てしてやらねば、急がねば、命が危ない。」

そぉ、考えていた時。。。
小さい馬車が、止まった。
馬車の中から、一人の紳士が降りてきた。
「2人とも、怪我をしているようだな。」
「この馬車には、2人しか乗れない。」
「私は降りるので、この馬車で街へ急ぐと良い。」
そぉ言うと、

軽々と、セディJrを抱え上げ馬車に乗せた。
そして、シャンもその隣へ寝かせた。

そして、
馬車使いに、「街へ運んであげなさい。」
「私は、歩いて一人で行きます。」そぉ言って、
馬車使いに街までの馬車賃を手渡し、自分は荷物を降ろした。
「さぁ、急げ。」

セディJrが、馬車の窓から「貴方のお名前は?」
紳士風の男は、セディJrの顔を見ると帽子を取った。
サングラスをしてはいるが、顔が見えた。
そして言った。そのようにセディJrには思えた。
「私の事は、他言無用。良いな。」そぉ、テレパシィを送って来た。
そして、帽子で馬の腹を叩いた。
「パッシィ」鈍い音と共に馬車が走り出した。

もぅ一度、セディJrにテレパシィが送られて来た。
「これを受取れ。」
そして、窓のセディJrに向かって棒のような物が投げつけられた。
セディJrはそれを、がっしりと受取った。

「あの人は、、、」
「そして、この棒は、、、、」
「そうだ。今日で三度目。」
「一度目は、あの魔王を倒した時。二度目はジュオ師匠に紹介された時。そして、今日。」
「あの人は、、あの人は、天、、、天邪、、、、天邪鬼様だ。」
「そして、、この棒は、、、噂に聞いた緑の棒だ。」

セディJrの手には、
短くはなったが、蘇えった「緑の棒」が握られていた。

魔王に折られて二つになった「緑の棒」を、
ジュオが星の剣で丹精込めて修復し、繋ぎ合わせたのだ。

全長1.5mと短くはなったが、二つに折れた繋ぎ目はネジ式にして、
それを、竜の鱗と銀を練り合わせた接着剤で補強し、
更に、島の婆様が不思議な石「緑の石」で蘇えらせた物だ。
長さは短くなったが、元の棒より更に強力な武器となっている。

セディJrは、何か運命的なものを感じ始めていた。。。
元はといえば、
この島へ、「行ったらどうや、行ってみろや」と、何とは無しに、それとは無しに、勧められて、
この島に夢を求める決心をしたのだった。
そして、その夢をセディJrに勧めたのはジュオであった。

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第一話:第四章「異変」

暫くして2人の乗った馬車は街に着いた。
街に入ると、直に「丘の街」と大きく書かれたな看板が目に入った。
馬車使いが、知り合いに医術の達人が居ると言うので、そこに着けて貰った。
幸に馬車使いの言う通り、シャンを見るなり「奥へ運べ」と言ってくれた。

ハンクの部屋
ハンクの部屋

シヤンの傷は、思った以上に深く傷の縫い合わせに二時間も掛かった。
当分シャンは、この街から動けないだろう。

医術の達人は、「ハンク」と名乗った。
そして、
「ジャントリアは昔は良い街だった、ワシはあの街の生まれだ。」
「しかし、3年ほど前から変わり始めた。」
「ずーと、あの街に住んでいる者には変化が分らないらしい。」
「あの街に行くよりも、この街で暮らせ。」
「この街は、安全じゃ。」
「どうしても、、行くと言うなら止めはせんが、馬車で行け。」
「毎日馬車は出ているし、馬車で行けば、少なくとも街までの道中は安全じゃ。」
「おぉ、しかし、傷の深いシャンは無理じゃ。あと一ヶ月は養生が必要だな。」

セディJrも自分の足の傷が痛むので、出発を五日ほど延ばした。
「そうすれば、馬車でジャントリアにつく頃には傷も癒えるだろう。」

ハンクの親切で、シャンもセディJrもハンクの家に泊まる事になつた。
シャンは、傷が治るまで世話になる事にした。

六日目の昼セディJrは一人、馬車でジャントリアに向かった。
馬車には乗客が他に12人程乗っていたが、道中を恐れているような気配は無かった。
ジャントリアまでは、馬車で一週間掛かるという。歩くと二週間以上掛かると聞いた。
最初、考えていたよりも道中に難所が幾つか有るらしい。

街を出ると次の街を目指し、夜は街の馬車客専用の宿に泊まるのだと言う。
それ故、「街から街の距離が長かったり、道中に難所がある場合は朝早くの出発になる。」
そんな説明が、馬車に乗る前にあった。

二日目は、朝7時の出発だった。
街を出て四時間も経つと、田舎の農道に入った。道が悪くてスピードが出無い。
二頭の馬も口を開いて、「ブッルル、ブッルル」と苦しげだ。
馬車使いが、「馬休憩だ。」そぉ言って、一見の農家に馬車を止めた。
そして、
「一時間ほど馬を休ませるが、この農家が見える範囲から外には行かないように。」
そぉ付け加えた。

セディJrは、自分の足にまだ痛みも残っているし、外へ出るつもりは無かったが、
少しだけ、散歩してみる事にした。
農家の裏に廻ってみた。前に畑があり百姓が三人ほど畑仕事に来ている。
「何の事も無い。普通の畑仕事じやないか。」そぉ思えた。が、、、、、
違う、、、
百姓は三人共、手に鍬は、、持ってはいるが、腰には剣のような物を着けている。
「剣を着けて、畑仕事をする百姓が居るのか。」
セディJrは、思い切ってその百姓に声を掛けた。

「こんにちは。精が出ますね。」
瞬間、三人は身構えた。しかし、セディJrを見ると直に普通に戻り「旅の方かね。」
「ここから先へは、いかねぇ方がえぇ。休憩小屋に戻りなされ。」
そぉ、話しかけてきた。

セディJrは、もう一度質問した。
「何故。。。畑仕事に剣を着けているか、訳を教えてくれ。」
百姓が答えた。
「最近のことだがね、、」
「一人で畑仕事をしたり、武器を持っていなかったり、女だったりしたら、襲ってくる奴が出るんじゃ。」
「その為に、三人での共同作業。そして、剣を腰に着けることにしたのじゃ。」
「「剣は、コケ脅しじゃがな、効果はあるみたいじゃな。」

暫くそんな話を聞いた後休憩小屋の農家へ戻った。
その日は、道中、馬休憩が計三回あった。
休憩の度に、その周辺の百姓を観察したが、皆同じように何らかの武器らしき物を持っていた。

四日目は、街と街との距離が一番長く、おまけに農家も少ない地区の道中になつた。
しかし、道は平坦で馬車が走り易く、馬も元気がよかった。
もし盗賊などが居るのなら、この場所が狙い場所となるような地区だ、
道の廻りには、一軒の農家もなく、畑仕事の百姓も居ない。
盗賊にとっては、稼ぎ場所と思える地区だ。
四日目は昼に休憩を一度取ったが、盗賊の出るような雰囲気は無かった。

しかし、もし自分の足で歩きの道中なら、、、
夜までに、次の街へ着くのは難しい距離だ、野宿をしなくてはならないだろう。
「そこを、襲うのではないのか?」セディJrにはそぉ思えた。

そして、七日目の午後、

馬車は、ついにジャントリアの街の入り口に辿り着いた。
そして、更に二時間ほどして馬車の終点に着いた。街の中心部に近い場所だ。

ついに、セディJrがジャントリアに着いた。
天邪鬼は何処に居るのか?果たして、この街に来ているのか?

一体、この街に何が有るのか。
街の様子は、、、見た目には普通の街に見えるが、、、、

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第一話:第五章:「ジャントリアの謎」

ジャントリアの朝は早い。日の出前に一日は始まる。
朝四時には、馬車が動き出し、街の清掃夫も、街の隅々へ繰り出していく。

その中でほぼ毎日、正体不明の馬車が街を出て行くのを知る者は少ない。
その馬車は、ジャントリアから更に北へ約30kmの小さな町「ブレッセ」へ向かう。
そして、その日の夕刻決まったようにジャントリアに戻って来る。
今日もその馬車は、
「酔いどれ風の男」と、「移住者の様な夫婦連れ」の三人の客を乗せてジャントリアを出て行った。

その馬車で、ブレッセに行った者で再びジャントリアに戻ってきた者はいなかった。
この事を知っている住民はいない。
早朝は荷馬車が動き出すが、人を運ぶ馬車は陽が登ってからだ、、、しかし、、
その馬車は人目を避けるように、陽の出前に人を乗せて出て行くのだ。

時刻は朝四時五分過ぎ。
その馬車を近くの宿のニ階から見ている者がいた。天邪鬼だ。
ブレッセ行きの馬車は朝十時に出ているが、一般客を運ぶ駅馬車である。
なぜ、こんな時刻に出るのか謎に包まれている。
いや、
「謎に包まれている」事に気づいているのは、天邪鬼一人である。

天邪鬼がこの島へ来たのには訳があった。

この島に異変が起きている事に、一番先に気づいたのは「ジュオ」であった。
「平和の盾開拓島支部に異変が起きている」と、ジュオが天邪鬼に相談に来たのが、三ヶ月前である。

平和の盾最高顧問として、幾度となくこの島を訪れているジュオがこの島へ来れば、
直に来た事が知れ渡り、異変の事は隠される恐れがあった。
異変を見つける事が出来なければ、更に大きな秘密を見破る事は出来ない。

天邪鬼が、この島へ渡った事を知っているのは、ジュオとフゥォンなど数名である。
船の船長も、天邪鬼とは知らされていなかった。

魔王との死闘の後は、
天邪鬼は、浮かぶ島から殆んど外へ出た事はなかった。
訪ねてくる者はジュオ達、限られた者だけであった。
それゆえ、「名」は有名でも、その顔を知る者達はごく少数であった。

しかし、
ジュオは街で武闘塾を開き、「平和の盾」の最高顧問にも参画し、開拓島にまで顔は知れ渡っていた。

この島で、何かが動き出している。
果たして、、、それは、、、、

「超神」なのだろうか?

天邪鬼の手助けと熟れるであろうセディJrに、
「この島へ渡り夢を追え。」とそれと無しに論したのもジュオであった。

ジュオによると、
二年任期を満了した、平和の盾の隊員が本部へ戻ってこなかった。
その隊員からは、
「任務の都合上、任期の一年延長を許可願います。」と言う、直筆の赴任延長願いが送られて来た。
しかし通常、本部から「延長辞令」を出す事はあっても、隊員から「延長願い」が出る事はなかった。
更に、その延長願いを持ち帰った別な隊員も、暫らくして除隊した。
その後行き先は不明になっている、、、、が、、
単身で開拓島へ再び戻っていった形跡がある。

新しく赴任した隊員も、
島の支部へ着任した直後から、まるで別人の様な内容の報告書を送ってくるようになった。

そして更に、
過去一年の間に、島へ移住していった人達の中で百数十名以上が、音信不通になっていた。
この件を支部に調査するように指示を出したが、返ってきた返事は
「異常なし」
「島への移住者で、所在不明の該当者なし」
「問い合わせの者達は、全員健在なり」と、言う内容であった。

支部の印も、支部長のサインも本物ではあったが、、、
この時点で、異変を確信したのである。

天邪鬼は、
これらの資料を、航海中は部屋から一歩も外へ出ず、全てに目を通し頭に入れたのである。

その日の朝十時の「ブレッセ」行きの駅馬車に天邪鬼は乗り込んだ。
一般の乗客と同じ様に、同じ様な服装で、、、、

天邪鬼は、
馬車に乗る前に、宿の者に一通の手紙を託けた。
あて先は、「民宿 さざんか:セディJr」殿
居場所は、合っていた。天邪鬼にはセディJrの居場所は分かるのである。

内容は
「派手な身なりは避けて、地元の者達と同じ様になれ。そして、ブレッセに来い。」
「以後、名はセディにしろ。」
「俺を探す場合は、緑の棒先で地面を叩け。」
そぉ書かれていた。


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ついに、、謎に近づいた。そして、、、動き出した天邪鬼、、、

続きは、、第二話に続く。ご期待ください。
近日、公開予定。